Panasonic NV-FS65

ジャンクS-VHSビデオデッキを修理する(1)

 いつものハードオフへ行ったら、こんなビデオデッキが置いてありました。
 「録画再生できました・1,000円」とのこと。
 S-VHS対応、しかも古いなりに高級感があります。我が家にはVHS Hi-Fiの廉価機種しかありませんので、もしこれが動いてくれればいい戦力になってくれそうです。いつ頃の製品でどの価格帯に属するのかはよく知りませんが、迷わず購入を決定しました。

 このNV-FS65が何者であるか、Googleを使って調べてみることにしましょう。
 いきなり「Panasonic NV-FS65 修理」なんてページが引っかかりました。
 にがさんの「にがHP」です。
 NV-FS65をはじめとして、 '88〜'90年代前半のいわゆる「バブルデッキ」と呼ばれる物量投入型のVTR機を修理し、その要点を記事としてまとめていらっしゃいます。多くの事例をわかりやすく解説してあり、これなら自分でも修理できそうな気にさせます。よい教科書ですので、隅々まで目を通すことをお勧めします。

 '88年、もしくは'89年の発売で、定価は14万円ほどしたS-VHS中堅機種のようです。
 現在のビデオデッキはコストダウンが進み、薄いプレス鋼板や輪ゴムのような安っぽい駆動ベルトを使った華奢な作りになっているのですが、本機はアルミダイカストのメカベースに砲金削り出しのインピーダンスローラ、そしてモータの動力をギアでがっちり駆動するという堅牢なメカニズムが印象的です。
 最近の機種はディジタルで画像を処理するので少々華奢なメカでも実用になるのですが、当時はそれほど高度なディジタルNRやY/C分離がなかった分、重いメカで振動を押さえ込み安定動作させることに主眼が置かれています。


●動作チェック

 とりあえず適当なテープを入れて動作確認しましょう。
  メカはそこそこ無難に動いているようですが…。

  標準速の再生 なんだか色が赤紫色に崩れているような。
  標準速の録画 素晴らしい。実に美しい映像です。
  3倍速の再生 周期的にノイジーな画像になります。
  3倍速の録画 少しノイズが混じるような気もしますが、動作しています。

  どうも画質がよくありません。
  ヘッドが痛んでるんですかね。それとも調整すれば直るのでしょうか。
  とりあえずヘッド交換した後の画像を見て考えることにしましょう。

 あと、当時の松下VTRはS-VHSモードの動作チェックも必要。 S-VHSモードで録再してみます。
 やはりというか何というか、画面真っ暗です。 噴いてますね。


●ヘッドを交換してみよう

 まずは上蓋とフロントパネルを外します。
 カセコンを押さえているプレス製の板も外してしまいましょう。
 (カセコンそのものは、まだ取り外さなくても作業できます)

 

 板1枚外すと、ヘッド回りの障害物がなくなってすっきりと作業できるようになります。
  ロアードラムとアッパードラムは14箇所の半田付けと2個のネジで固定されています。 赤矢印で示した箇所の半田付けを吸い取り線で全部きれいに吸い取ってからネジを外し、上に引き上げてアッパードラムを外します。

手でつかんでもドラムが固くて外れない場合は、水色矢印の穴にネジを差し込み、紐か何かをひっかけて真上に引っ張るという方法があります。

 はい、外れました。
  ロアードラムから伸びている14本の配線がきれいに真上を向いていることを確認し、曲がっていたら直しておいてください。曲がったままにしておくと、アッパードラムを押し込むときに悲しい思いをすることになります。

 ビデオヘッドの回転する部分、よくアッパードラムなんて呼び方をしますが、松下の正式名称は「ウエシリンダー」です。 純正品を発注するときは覚えておくとよいですね。
 今回は純正品ではなく、(株)藤商から発売されている互換品を使うことにしました。

  直販も1個単位で請けてくれます。電話やFAXで発注し、代金は到着後に同封の郵便振替用紙で支払い。 これが互換ヘッド。5,900円+送料で6,190円でした。 良心的なお値段だと思います。

 上下それぞれに合印がついてますのでそれに向きを合わせて、新品のアッパードラムを押し込みます。
 ヘッドを 手で回してみて、正しく嵌っているかを確認してから元通りネジを締め半田付けして終了。

 この時点で、再度録再の品質を確認。
 派手にノイズが走っていたのが、おとなしくなりました。


●映像回路のハイブリッドICを補修しよう

 次は、S-VHSモードの異常をどうにかしましょう。
  S-VHSモードにすると画像が真っ暗になり録再不能になるトラブルですが、これは'90年前後の松下製S-VHSデッキの宿命ともいえるトラブルで、後年対策していない限りほぼ確実に発症します。
  原因は、S-VHS関連機能の回路に使われている電解コンデンサが液漏れを起こしてしまうこと。当時使われていた電解液に問題があったようです。

 基板の部品面を表に向けてみましょう。 
 まず基板を固定しているネジと押しピンを外します。

基板の右端に手を掛けて、配線類を引きちぎらないよう絡まったり引っかかったりしたハーネスをほぐしつつ…

  180度ひっくり返す!
  これで部品面が見えるようになります。
  配線の引っかかりを丁寧に外すと、コネクタを抜くことなくこのようにひっくり返すことが可能です。

 赤丸で囲んだ部分に、3枚の基板が並んで立っています。
 それぞれ画像左から順に「Y/C PACK」「SHQ PACK」「I/O PACK」と名前がついていて、この画像で裏になっている半田面にシルク印刷で名前が書き込まれています。

 基板をもう一度裏返して半田面を上に向け、半田付け箇所を外してY/C PACKを取り出します。

 これがY/C PACK基板。赤丸で示したハイブリッドICが不具合を起こすことにより、標準VHSは正常でもS-VHSモードにすると画面真っ暗という症状が発生するのです。それでは、ハイブリッドICを取り外しましょう。

 ぼやけて非常に見づらいのですが、電解コンデンサの脚が白い粉を吹いていたり茶色い錆のようなものを生じていたりして腐食が始まっています。電解液が漏れて、周囲を侵食しているのです。この状態では本来のコンデンサの機能はほとんど失われてしまっていますので、同容量のコンデンサと交換します。

面実装のケミコンは入手困難な上に扱いが難しいので、小さい立型タイプを使用しました。
4.7uF×2、47uF×2の計4個、周囲に干渉しないよう配置に気をつけて半田付けします。

あとはハイブリッドICをY/C PACKに半田づけして、元通り組み上げて完成です。

標準、そして3倍速の録画や再生でノイズが走らないこと、そしてS-VHSモードで正常に録画と再生ができることを確認して修理完了です。


●実はまだ終わらない

 いろいろ手持ちのテープを再生していたのですが、どうも気に入りません。
 そりゃ激しいノイズの嵐はなくなったのですが…。
 再生画像の肌色や赤色が何となく紫がかっていて、みんな不健康そうな感じです。
 そして、画面全体が小刻みに震えていて落ち着きません。

 さらに困ったことに、しばらく使っていたらイジェクト時にテープが絡まるようになりました。

 あちこちガタが来ているのかもしれませんね。

 

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